祖父
2010年 11月 16日
私が、鳥を好きなのは多分、
小さいころ文鳥を飼っていたからだと思います。
小学校2年の誕生日に、
お祝いとして文鳥のヒナを買ってもらいました。
姉や妹の分も一緒に買うことになって合計4羽。
私の文鳥の名前はチイ。
最初は、何時間おきかにえさをやるのが楽しかった。
なついてくると、手にものる、頭にものる。
(まさに手乗り文鳥)。
機嫌がいいのか鼻歌みたいに歌いながら踊っている時もあったし、
おこると威嚇するような鳴き声もだす。
手に乗せていると気持ちがいいのが、
うとうと寝ているのが見ていてかわいかった。
小学校3年のある日、いつものように、
鳥かごから出して遊んでいた。
足の甲に乗せて歩くと、じっと乗っていてくれた。
何歩か歩いた、ふとした拍子に、チイが足からおりた。。。が、
私が足を止められず、チイがその下にいた。
次の瞬間、チイは、ばたばたと苦しそうに、
のたうちまわり、
そして、
動かなくなってしまった。
死んだ・・・???。 え? うそ。
まだ、温かいし、
外からは傷もないように見えるのに。
涙がとまらなかった。
信じられなかった。
私が、踏んでしまった。
ものすごいショックだった。
次の瞬間から世界が、変わった。
見える世界がグレーになった感覚だった。
翌日、大好きな体育の時間が、今までとは、違う。
自分はここにいるけど、ここにいない感覚。
チイが死んだ、もういないということが、
つらくてつらくて。
人の死ではなかったけれど、
あのときの小学校3年の自分にとってはものすごく悲しかった。
自分のせいで大好きな存在を死なせてしまったことが、
本当に今でも悲しい。
家に帰ると、一緒に住んでいた祖父がそのチイを箱に入れてくれていていた。
ちょうど、中身が見えるお線香の箱で、
綿を敷いていて、ミニ棺のようだった。
その中で、眠っているようなチイがいた。
それが小さなテーブルにおいてあり、
仏壇から、ろうそくとお線香をたてる道具も用意してくれていた。
お祈りしつつ、お線香をあげた。
終始、無言で、泣いているだけの私に、
祖父も、無言で一緒に座っていた。
お線香が1本、燃え尽きた。
それでも、じっと座り続けている私に、
『もう1本、線香・・・あげるか。』
と祖父が言った。
その言葉が、本当に嬉しかった。
私がものすごく悲しんでいるのを察して、
たった一言、言ってくれたその言葉が本当にありがたかった。
今月末、祖父の法事があります。
13回忌。
早いものです。
郵便局の局長さんをしていたのですが、
物静かで、多くを語らない祖父でした。
でも、その姿から多くのことを学んだ気がします。
おじいさん、ありがとう。
by sakura-zeirishi | 2010-11-16 20:32 | 気づいたこと・心にとまったこと